忍者ブログ
8to2 竹内公太による福島第一原子力発電所事故関連記事
[1]  [2]  [3]  [4]  [5
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

東京電力によりますと、事故以来福島第一原子力発電所にて復旧作業の陣頭指揮を執っていた吉田昌郎所長(56)が病気療養のために12月1日付けで退任されるとのことです。
 
参照:「福島第1原発の吉田所長が退任、入院へ」 ニコニコニュース 2011年11月28日15時56分配信
 
病名等については個人のプライバシーに配慮して発表されませんが、放射線による因果関係は確認されていないとの説明です。
 
---
私が1Fで働いているとき、確か二度ほど吉田所長をお見かけしました。1度目は免震棟でフィルター交換をしている時、目の前でサーベイを終えた数名の来客を出迎えておられました。その時そばにいた先輩が私のわき腹を小突き、「おい、あれが吉田所長だぞ。 あの人がお前、この大変な現場をずっと仕切ってはるんやぞ」と小声で言いました。先輩は尊敬のまなざしで出迎えの様子をじっと見守っていました。2度目はJヴィレッジから区域外に出られるところで、曲がり気味の背中に多くの人がお疲れ様ですーと声をかけていました。(勤務時は基本的に免震棟にて寝泊りされていたそうです)
 
東京電力には事故の責任などあり手放しで礼賛することはありませんが、吉田所長に限らずあの場所で復旧作業に当たる仕事自体を私は肯定したいと思っています。これまで亡くなられた方、体調を崩された方と同じように、プライバシーの問題から病名は答えられないとのことです。また累積被ばく線量も伏せられています。個人情報をむやみに開示すべきではありませんが、それは被ばく線量と健康の因果関係を推し量るためではなく、現場で仕事をすることがどのようなリスクなのか、電気を使うものとしてその一端を知るためにも、できれば公表していただきたいことです。が、難しい問題です。

12月9日追記
吉田所長の病名と被ばく線量が公表されました
 

PR
■ 【過去記事】:作業員の方の防寒対策

作業員の方の防寒用の下着について、素材は綿の上下長袖とのことですが、厚みについては良くわかりません。
これを重ね着することは、特に禁止するものではないそうです。今のところ数量も十分あるとのこと。
連絡取れる作業員の方にこの件実態を聞いてみようと思います。

【※12月5日 追追追報】
もう一度会見で聞いたところ、結局防寒用の特別な下着ではない、ということでした
こちらの記事をご参照ください


【※11月23日 追追報】
一時的に東京都内に帰られていた作業員の方とお話しする機会がありました。
(私がお世話になった会社と別の会社の方で、10月より1Fに入られています)
その方の場合では下着については重ね着をしないよう会社から指示されているということです。
防寒対策として、場合によっては下着の下に何か着るというような工夫をしているそうです。

東京電力側が会見で装備品の重ね着を認めても、会社としてはやはり少しでも減点となる可能性のあることを無くそうという判断かと、私は推測します。いわゆる「空気を読む」ということ。こうした元請会社や東京電力への恐れによる下請け会社の過敏な対策は、マスメディアの取材は一切断るよう指示することや、Jヴィレッジ掲示物について説明しないというような面にも見受けられる問題でしょう。


 
■ 【過去記事】:作業員の人件費

 日本共産党の渡辺博之いわき市議の問い合わせに対し東電本店労務人事部は
 「発注先の判断とは別に手当てを考慮すべきとの考えもあり、支給方法については未定であるものの検討中である」
と話したとの報道がありましたが、現在この記事について事実確認していただくよう11月1日の会見でお願いしていました。

本日頂いた回答では労務人事部でそう答えたという事実は確認できない、協力企業との契約を担当する資材部でもそういった"考慮すべきとの考え"や"検討中"という事実もないとのことです。

渡辺博之いわき市議にメールを出して問い合わせましたが、返信はありません。
 
■ 作業員の方の防寒対策
 
東京電力によりますと冬場の防寒対策として各休憩所には暖房設備があり、
作業員の方が着る下着は防寒用の厚手のものを用意しているとのことです。
 ※12月5日に会見にて改めて質問したところ、防寒用の厚手のものではないそうです→記事はこちら
また、タイベックの下に作業着を着用しても良いそうです。
ただし自前の作業着が汚染されるとその場で除染する必要があります。
また、インフルエンザの予防接種は11月15日現在3500人が受けており、マスク、消毒用アルコール、体温計なども配備されているそうです。
(参照:記者会見資料リンク 2011年11月18日 福島第一原子力発電所における冬季対策について(12.0KB)というpdfファイルがあります)
 
放射性物質の測定の説明では、身体サーベイ中に放射性物質が発見されることは「かなりあった」とのことでした。(参照:身体サーベイについての説明と実際
それでは自前の作業着を防寒のために着たくても汚染のリスクを考えると着づらいのではないでしょうか。
通常衣服や携行品に放射性物質の付着があった場合に現場で除染できれば持ち帰ることができますが、
福島第一原子力発電所の洗濯設備が地震と津波で破壊され今も使用できない関係上、作業着のその場での除染は難しいでしょう。
 
厚手の下着を重ね着することは考えられないか? この点広報部長の寺澤さんにお伺いしたところ、
「動きにくいでしょう」とのことでした。
下着類を重ね着できるのか、あるいは
自前の作業着が汚染した時のために数十着免震棟などにストックしておくなど対策は?
次の会見でもう少し聞いてみたいと思います。
 
また洗濯設備が機能していない関係上、現在大量の下着類が洗濯待ちで山積みになっています。
あまり汗を吸ったものは長く保管すると洗濯も困難になるかと思いますが…
 

■ 身体サーベイについて
 
放射性物質の測定などの説明があったので関連質問しました。
 
免震棟に、あるいはJヴィレッジに作業員の方が帰られたときに
GM管式サーベイメータを使って体表面、携行品に放射性物質の付着がないか調べてから屋内に進みますが、
 
Q.  この放射性物質の監視方法について、これまでに実際に付着が認められたケースはどのくらいありましたか?
A. かなりありました。
 
Q.  その際計測器の針はどれくらいの数値を示しましたか?
A.  スクリーニングレベルぎりぎりか、少し越える程度で汚染と認めます。
  スクリーニングレベルはJヴィレッジでは13,000cpm、免震棟では3,000cpmです。
 
放射性物質の有無を一定の数値以上に計測器の針が振れるかどうかよく見ることで確認するという説明です。
しかし、私は免震棟の出入管理業務において身体サーベイをしましたが、そのような説明はされませんでした。
その場にすでにある放射線の関係上、スイッチを入れただけでいくつかの値を示していましたし、計測器を手に持って動くと少し針が振れてしまう状況で、測定範囲の設定を30kにするか、100kにするかも、私が受けた説明は曖昧なものでした。
説明は「針がぶん、と勢いよく振れたら、その時は言ってね」というものでした。勢いよく、とはどの程度かわからなかったので聞きましたが、まれなことだからなのか良くわからない説明でした。
免震棟内に、というか作業員の方の袖口に万一付着していたら、そこで口元などぬぐってしまったら、などと思うと気が気でなかったのですが、
「万が一付着していたら誰でもわかるほど大きく針が振れるのだろう」と、思っていました。しかし「スクリーニングレベル」という言葉とその意味と、目標数値を知っていたらもっと違っただろうと思います。
無責任ですみません、とにかく良くわからなかったです。
Jヴィレッジにはゲートモニタが設置され、域外に帰る際のサーベイは手作業が減ったそうです。
■ 10月29日クレーン解体作業中の人身災害について
東京電力によりますと、事故調査が終了し、明日11月7日からクレーンの解体作業を再開するそうです。
原因の調査と今後の対策がまとまり、富岡労働基準監督署に説明もしたとのことです。
 
【事故原因と状況】
一号機カバー作業のためのクローラークレーンを解体するために2台のクレーンを使ってワイヤーとマストを共吊りしていた。(共吊りはワイヤーとマストが不可分のため必要な方法)
その際、ワイヤーと台座を固縛していなかったため、これが落下し吊荷の下で作業していた2名の作業員の方に当たり事故となった。
本来積荷と台座は固縛しなければならない。また、吊荷の下で作業を行ってはいけない
しかしこうした作業方法は以前からも慣習的に行われていた
17名のチームで行っていた作業だが、手順書は簡易なもので、共吊りの際台座への固縛するようには記載されていない。
手順そのものが慣習的に省略しすぎていたので広い意味ではヒューマンエラーといえるが、特に作業員一人ひとりの直接的な瑕疵(カシ)ということではない。
 
【今後の対策】
解体していた事業者に対しては
  ・具体的にワイヤーと台座を固縛する方法を定めてもらう
  ・荷の下で作業しない
  ・荷は仮置きして固縛する
これらを作業手順を変えて改定し、手順書の中に組み込むようお願いする。
また発電所内の全ての同様の作業においてこれを今後徹底する。
 
【負傷された作業員の方の容態】
現在重篤な状況ではなく意識ははっきりしている。しかし本人と家族の意向で詳しい容態は伝えられない。
 
 
NHK横川さんからこの件に関して質問がありました。その際の答弁によると、
 作業された事業者の方はスキルのある方で、過去にも同じ作業をされていたので、手順書も簡潔明瞭だった。 しかし荷を固縛する、台座は一旦下ろしてから作業する、こうした当たり前のことを今後手順書に書いてもらう。 今回のクレーンを扱う際の荷の取り扱いは放射線環境下であるなしに関わらず行わなければならないことである。普通の環境とは違うということは発注者として、皆様には繰り返し繰り返し周知する。
とのことでした。
 
スキルのある方々なのになぜ事故につながるのか、それには固縛しないといった手順の省略があったわけですが、なぜそれが見過ごされるのか。安全第一の空気がきちんとあったのか。
追加で次のように質問しました。
 
Q. 作業方法に問題があるのを目撃した場合の連絡先としての企業倫理相談窓口、企業としての自浄作用を役立てるために大きく掲示すべきでは?
A. 今回のようなケースは不正を報告する窓口の問題ではなく、現場で気がついた人がきちっとやめろ、と中断しろ、と指摘すべきことだと思います。人の命がかかっているのですから。
 
Q. 工期があり、下請けという立場。やめろ、と言えない、あるいは見逃す空気が問題では?
A. そういう気持ちの持ちようが安全を疎外すると思います
 
Q. それを東京電力が強く周知することが新たなプレッシャーを生むのでは?
A. 安全に関わるものは元請、下請け関係なく、その場で言う文化が必要です
 
Q. 東京電力さんのウェブサイトにも、しない風土、させない仕組み、言い出す仕組みについて書かれています。これを徹底させる抜本的な対策は?
A. 仕組みはルールの話ですので、窓口を設けることです。
  風土は醸成するもので、どういう価値観に基づいて作業するか、ある程度時間がかかるが、時間をかけて繰り返し言うことが重要と思います。
  これからも継続してやっていきます。
 
Q. 風土を作り出すための最大限の努力を東京電力さんはすべきと思いますが
A. 難しい部分ですがそういう取り組みをこの10年間取り組んできたつもりです。
 
Q. Jヴィレッジの掲示板に企業倫理相談窓口の連絡先が書かれていない、労働条件についての相談窓口としての資材部の連絡先も小さい これは十分な風土つくりのための努力といえますか
A. 掲示したから風土が変わるものではありませんが
 
Q. やらなければ話しにならないのでは
A. 相談を抱えている人には窓口の連絡先を表示している、入社教育でも悩みとか
  発注者受注者という関係で言い出せない倍にそうした窓口を利用していただくよう周知していく
 
Q. 作業員一人ひとりに周知が難しいわけですよね
A. 基本的には元請企業を通して、周知しますし、それ以外にも掲示物、チラシは有効かと思います
 

掲示物は唯一の窓口だと思います。是非改善していただきたいと思います。
 
下請けというのは、ミスをしたら、作業員はいつ首切られるかわからない、
会社としても仕事がもらえなくなるかもしれない、けれども工期は守らないといけない、
そういうプレッシャーを抱えて仕事している方も多くおられます。
こういう状況は全員一社の社員というような状況に比べて、基本的に小さなミスや不正、事故が隠されやすい状態です。
 
ですから不正をしない風土、させない仕組み、言い出す仕組みというのは、本当に難しいからこそしっかりとした対策をするべきだと思います。
実際私が働いていた時、そうした不正連絡の窓口の存在はおろか、掲示物の説明もとくにありませんでした。そしてマスメディアには緘口令です。
今企業倫理相談窓口にいくつか調査を依頼しているので詳しくはいずれ別の機会に書きますが、会社が重大な不正を隠しているというよりは、
常に元請の顔色を伺ってとにかく自社の作業員にへまをして欲しくない、騒がれたくない、そういう"風土"が圧倒的です。
会社のほうが社員に積極的に不正相談窓口を周知することは考えにくいのです。
ですから私は窓口をしっかり、大きく掲示して周知徹底するよう再三求めています。
もちろんそれがされたからといって、実際に窓口利用されるかはまた別で、問題はもっと根深いと思います。
会社が怖くてそんなの利用できない。
 
けれども、しない風土を本気で作るなら、まずその窓口をしっかりと掲示すべきだと考えます。
どうせ変わらないから、と一歩目を踏み出すことすらしないのは、怠慢だと思います。
川俣さんが「掲示したからと言って変わるわけではない」旨のご発言をされたときはさすがに声が荒ぶってしまいました。
根本的な解決は法律を変えない限り難しいでしょうが、だから何もそこまでしなくて良い、というのは違うと思います。
今回の事故はクレーンの解体作業中のできごとでした。もちろん作業員の方々の身が安全であってほしいですし、
これがもし炉に近い作業での事故、あるいはミスだと、より危険で重大な事態を招くかもしれないと思います。
 
2007年のJR西日本の脱線事故などでは社員の方に対する
過度なプレッシャー(過密な時刻表、日勤教育、それによるミス隠しの常態化)が大事故の原因のひとつだったわけです。
現在かの区間では少しでも危険を察知するとしょっちゅう運転停止したり、徐行したりします。
原発事故を起こした企業として、やりすぎるくらいの安全徹底をして初めて風土作りと言えるのではないでしょうか。
 
プロフィール
HN:
竹内公太
性別:
男性
自己紹介:
元作業員の視点から何か有意義な記事が書けないだろうかと思い、東京電力さんの記者会見にときどき参加しています。(働いたのは8月の短い間だけです 免震棟の出入り管理で、比較的被曝量の少ない、後方支援のような仕事です 現場で今も高線量被曝しながら懸命に作業されている方々に最大限の敬意を持って、記事を書きたいと思います。
ライター経験は無いので読みづらい点もあるかと思いますが宜しくお願いします。
バーコード
ブログ内検索
忍者ブログ [PR]