忍者ブログ
8to2 竹内公太による福島第一原子力発電所事故関連記事
[1]  [2]  [3
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

注)「福島第一原発での体験」の記事はあくまで私個人の体験と印象です。
 のべ数万人とも言われる作業員の方々それぞれが異なる体験と印象を持っておられると思います。
 情報が不足する中で、私のケースを全体の印象とお取り違え拡散されることのないようお願い申し上げます。
 
 私は免震棟内で後方支援的な作業を行っていました。滞在期間は2011年8月のひと月足らずです。ですから私の見た光景は全体のごく一部であり、浅い理解に過ぎません。
 より高線量の建屋で作業される方や、私とは全く異なる滞在宿、雇用条件の方が大勢おられます。

寝不足の自分はちょっとデリケートすぎる気もしてます 文句も言わずに作業されてる方々に対しては申し訳ないです

■ 福島第一原発の体験13
寝られない日が続く。ので、勤務前に記入する体調報告用紙に、睡眠時間4時間と書く。本当は3時間しか寝られなかったが、つい水増しして書いてしまった。心がざわつく。すると、ちょっと目を離した時に、同班の方が6時間に書き換える。「4は書いたら駄目っすか?」「うん、まあ、ね。ううん」下請け会社は仕事を干されたらマズイ。体調管理もできない奴がいても個人の責任ではなく、社の責任と見られる。先輩方はいつも、余計なことは言うなよ、と言い、元請会社の顔色を伺っている。この現場をゆくゆくはA社さんに任せられればなあ、と元請の方が言うと、「はい、できます! 任せてください!」、「でもあれもこれもだと難しいからなぁ」「いや、100パーセントできます! もう、ビシバシ言ってください」「おお笑。頼もしいなぁ~」。より多くの仕事を請け負えるが、元請会社への新規作業員登録作業やこの社内でのシフト組みや打ち合わせで睡眠時間を削られる先輩を見るとちょっと順番がおかしい、というか危険な気がする。こうしたことがこの会社に限ったことなのか。例えば、より高線量、あるいは高所や重量物の扱いなど危険を伴う作業だったらどうなんだ。こんなことは世の中を見渡せばいくらでも起こっていることだし、そうやって仕事はもらうものなんだよ、と言われればその通りだと思う。けれど、この未曾有の事故現場でもその常識のまんま行われていて良いのだろうか、疑問に思う。ちなみにこの時は不正事項の相談窓口があることなど知らない。当たり前だが、会社はそんなことは新人に積極的に教えたりはしない。社長は6月に口ばかり達者でややこしい奴をすぐにクビにしてやった、と私に言ってきていた。
出入り口の身体サーベイを担当しながら、何かこのままでは事故が起きそうだなとどんより考えていた。その時、同班の別の方が、外扉から中へ帰ってきた。いつも通り全身をサーベイしようとしたら、「20分しか休憩ないから、ね? 省略して。手と、足の裏だけで。」自分が勤務してからこのサーベイで放射性物質の付着を見つけたことはない。元請の人もこの方法はザルだと言っていた。しかし、そういうことをずるずるとやっていいのか?? 戸惑いつつ無言で言われたとおりにする。去り際にこちらを振り返って、「だって、ね? 20分しか、ほら休みが、ね?」言い訳のように念を押されて、無性に腹が立ってくる。
身体サーベイの曖昧な説明、睡眠時間書き換え、さらに少ない睡眠時間で文句も言わない先輩(愚痴は言う)と、元請にはそんな弱音おくびにもださない態度、社長の態度、働いた後から渡される雇用通知書、Jヴィレッジの無秩序な業務連絡掲示物、応援メッセージの掲示物、いろいろなものが頭をよぎり、勤務の最後の方の期間を私は、イライラして悲観的な気分で過ごした。事故現場だから多少のことは仕方ないのか、事故現場だからこそきちんとすべきなのか。
「お前は大丈夫やろうけどなっ おっ前の子供は鼻から足が生えよるぞww」いつもの先輩の原発ジョークにも、笑う気力は無くなっていた。
 
PR
注)「福島第一原発での体験」の記事はあくまで私個人の体験と印象です。
 のべ数万人とも言われる作業員の方々それぞれが異なる体験と印象を持っておられると思います。
 情報が不足する中で、私のケースを全体の印象とお取り違え拡散されることのないようお願い申し上げます。
 
 私は免震棟内で後方支援的な作業を行っていました。滞在期間は2011年8月のひと月足らずです。ですから私の見た光景は全体のごく一部であり、浅い理解に過ぎません。
 より高線量の建屋で作業される方や、私とは全く異なる滞在宿、雇用条件の方が大勢おられます。


■ 福島第一原発の体験11
15時出発、免震棟16時~25時、27時帰宿のシフトでは怖い経験がひとつある。真夜中の道路だ。20km圏内は街灯のない箇所も多く、またアスファルトも一部凹凸があるので、スピードを出し過ぎるとちょっとスリリングだ。一度ネコが通りかかってブレーキを踏んだこともあったが、真っ暗な中に牛に立たれていたらと思うとぞっとする。しかしその日から車のスピードは少し緩まった。
 
■ 福島第一原発の体験12
22時出発、免震棟25時~9時、11時帰宿のシフト。
宿で同室の方と勤務時間帯が違うこともあり前日の睡眠時間が4時間で辛かった。ので帰ってすぐに寝たかったが、この日は仕事帰りに元請会社の支部へ立ち寄り、管理区域立入許可申請書や被ばく量測定や個人情報の取り扱いに関する同意書に署名捺印する。本来は管理区域に入る前に提出する書類だが、今回の事故で急増する作業員の登録は大変な状況なのでいた仕方ないのだろう。(後日東京電力に問い合わせたところ、それらの同意は作業者証作成時に得ているので問題はないとのこと)。事務の若い女性の説明を受けながら、若い女性が喋っているのを近くで見るの久しぶりだなあと思う。
宿に着いたのは13時を過ぎてへとへとだったが、先輩はこの後打ち合わせをするという。えっと驚くのだが、先輩は作業以外のこうしたマネジメントを毎日やっている。睡眠1,2時間とかいう話をして笑っていた。元請会社に手続きするからちょっと来い、とは言えないし、事故の対応で本当に大変な状況だし、先輩方が善意で頑張って仕事されていることは重々承知なのだが、それでも、そういった状況の方の運転する車に自分は乗りたくない、と思う。
夜までしっかり寝たいのだが、17時頃に照明の光とテレビの音で目が覚めてしまう。消してください、とも言えず、目が冴えてしまって、しかたなく夕食を摂りに行く。かなりイライラしてしまう。
 
注)「福島第一原発での体験」の記事はあくまで私個人の体験と印象です。
 のべ数万人とも言われる作業員の方々それぞれが異なる体験と印象を持っておられると思います。
 情報が不足する中で、私のケースを全体の印象とお取り違え拡散されることのないようお願い申し上げます。
 
 私は免震棟内で後方支援的な作業を行っていました。滞在期間は2011年8月のひと月足らずです。ですから私の見た光景は全体のごく一部であり、浅い理解に過ぎません。
 より高線量の建屋で作業される方や、私とは全く異なる滞在宿、雇用条件の方が大勢おられます。
 

■ 福島第一原発の体験10
再び朝7時出発、免震棟9時~17時勤務、19時帰宿のシフトを二日間。
二日目は雨が降り、アノラック(タイベックの上に着る防水用カッパ)の脱衣補助作業が追加される。扉の中に帰ってきた方の背中から裁ちバサミを入れ、するっと脱げるように切る。しかし日曜だったので忙しくはならない。
暇な時間が続いたら、一緒に入っていた方々がふざけ始める。ガムテープを丸めたものを投げ合ったり、タイベックにいたずら書きをしたり、きゃっきゃウフフしている(全面マスクでその声が聞き取りづらいが)。一緒になって遊ぶ気にもなれなかったのは、ちょっと子供っぽかったことと、その時全面マスクをキツく絞め過ぎて頭痛と吐き気をもよおしていたからだ。(緩めればいいのにちょっと外気を吸ってしまった)。
私の現場に関してだけだが、悲壮感は意外とない。出入り口スペースの棚の上の道具入れのダンボールには物凄い楽しそうな落書きがめいっぱい書かれている。出入り口扉は基本みだりに開閉しないが、ガラス越しにジェスチャーはできる。先輩がパチスロのジャグラー機種のイラストを描いて見て見てってアピールしたりしている。
免震棟で使用するロッカーにはガムテープを貼って所属会社と名前を書くが、何故かかわいい顔文字だらけのロッカーがあったりする。働いた第一印象は皆さん元気で明るいことだった。確かにあまり悲観的過ぎる人は残らない気もする。元請会社の20歳そこそこの彼は誕生日を免震棟で迎えた時に恐怖心は吹っ切れたそうだ。
 
注)「福島第一原発での体験」の記事はあくまで私個人の体験と印象です。
 のべ数万人とも言われる作業員の方々それぞれが異なる体験と印象を持っておられると思います。
 情報が不足する中で、私のケースを全体の印象とお取り違え拡散されることのないようお願い申し上げます。
 
 私は免震棟内で後方支援的な作業を行っていました。滞在期間は2011年8月のひと月足らずです。ですから私の見た光景は全体のごく一部であり、浅い理解に過ぎません。
 より高線量の建屋で作業される方や、私とは全く異なる滞在宿、雇用条件の方が大勢おられます。


■ 福島第一原発の体験7
この日は3直、22時過ぎに旅館を出て深夜0時~朝9時まで免震棟で勤務する。
前日と同じく扉の開閉を行ったが、全面マスクで聞き取りづらいこと、またお互い大声を張って強い口調にならざるを得ないことから、分かってても少しイラついてしまった。深夜2時、真っ暗闇の敷地を尻目に、出口すぐそばのプレハブに使用済みタイベックをストックしながら、自らの社会経験の薄さがつくづく情けなくなる。
仕事終わりに先輩が「ほいっ」とパンをくれたり、旅館のロビーでぼーっとしてるところに「わっ」とか言っておどかしてみせたりしてくれるのは、仕事オフ時のフォローなのかもしれない。
 
■ 福島第一原発の体験8
他愛もない会話。先輩方は家族に仕送りしている人も多い「竹内くん、金溜まるだろ? 友達になろうよ笑」「おめー若ぇのに原電で仕事してんじゃねーぞ? 他の仕事できなくなるぞ?」何でですか?「楽だから!(ニカッと)」
この日も朝9時まで免震棟で勤務、仕事上がりにJヴィレッジでWBCを受ける。敷地内で仕事して6日目だが、本来は管理区域に入る前に受検しなければならないものだと思う。異常なし、だそうだ。係りの人に聞いてみたが、バックレさえしなければ、例えクビでも退所時にまた受けられる、というか受けてくれなきゃ困るそうだ。
どうも風邪を引いた(うつされた)。今日はこのまま帰って寝て次の日から3連休である。
 
■ 福島第一原発の体験9
3連休
初日にいきなり先輩が「急で悪いけど明日出られる?」「免震棟じゃないぞ。1号機建屋の出入り口。修行してこいよ。」まだ風邪の引き終わりだったのでお断りしたら、後日先輩に小言を言われた。
都内のコミケ(国内最大級の同人誌即売会)のニュースを見て、原発日記とかいうWeb漫画を描いて同人誌を作れば今年は物凄い儲かるんじゃないかと思いつく。さっそくスーパーで紙と鉛筆と定規と買ってきたが、三つくらい4コマまんがの下書きを描いて疲れて満足してしまった。
旅館の時間はゆったりと流れている。エレベーターに乗ろうとしたら上半身裸のオッサンが出てくる。一応「お疲れ様でーす」と言う。旅館は元請会社で借り切っているので、誰かはわからないが一応挨拶だ。同室の人が屋上に花火を見に行ったら、酔っ払った人がいて、6号線沿いの自宅をいつも眺めながら出勤してるんだ~と絡まれたそうだ。作業員には被災者の方も多いのだ。
同僚から聞いた笑い事じゃない笑い話。先輩の同室の水処理班の方が仕入れてきた話で、3分で5mSv被ばくする現場があって、作業をすぐ中断したとのこと。ナットひとつ締められなかったらしい。「よし、急いでナット締めるぞ」→「やっべ! スパナが違う 間違えっちゃった てへ」→作業終了。実話かどうか定かではなかったが、とりあえず笑ってしまった。
同じ方がこんどはまじめな顔でこれから外国人労働者が増えるだろう、と言っていた。そうなったとき国際世論とか大丈夫なのだろうか。そういえばマスクのフィルタ交換していた時、大柄な白人男性がいた。慣れた手つきでささっと交換して見せると、「Oh」と言ってはにかんでいた。日本語は得意ではないらしい。

二日目はA社長B社長が来た。給与の振込先として銀行口座の番号をお伝えしたいと切り出したら、「ええ~。給料欲しいの? ええ~やっぱ欲しいか~。え、どっちかっていうと? いる方? いらない方? ああ~やっぱいる方ですか~」とかマジでウザいことを言ってくる。
社長談、敷地内で作業員が履く靴はいちいち洗わず使いまわしているが、これは事故前であればありえないほどルーズなことだったそうだ。「マスクフィルタ交換の時も、ひとつ触ったら面倒くさくてもその都度手袋換えや?」社長の安全基準はあくまで事故前だ。しっかり話を聞いておく。

三日目の午後、震度5弱の地震と津波注意報があった。1Fが心配になる。帰ってきた同僚によると周りは全員免震棟などに避難したそうだが、その指示がなかなか来なかったので焦ってるともうほとんどの人が避難した後だったのでかなりびびったそうだ。
明日朝の勤務に備え風呂に入る。風呂場で聞いた愚痴、「わしらはヒートパックにレトルトやのに東電は弁当かい」「わしらは通路で寝てるのに」といった話を聞かされる。しかしヒートパックにレトルトは内部被ばくを防ぐためにはしょうがないというか、その弁当ってのは何なんだ? 旅館や現場で聞く噂話はあまり真に受けすぎてもいけない気もしてくる。
被ばくと選択

個人情報としての被ばく線量とは一体何なのだろうと考えます。被ばく線量は病気の量?ではありません、一方で身長や体重といったデータとはやはり違う数字です。人間にとってはリスクの数字だということと認識しています。

私はあらゆることをこの数字に一元化することには抵抗があります。健康は人によって多種多様な様態を容認するものです。病気かどうかの科学的な理解も、精神的満足感があるかどうかの価値判断も、健康の一要素と思います。リスクの数字に幸不幸の判断を負わせただけで健康(≒幸せ)を語ると、大きな視点では分かりやすいですが、尊重すべき個人的な価値観を見逃す危険があります。

これは被ばく労働、被ばくに見合う個人的な価値を得ること、をどう理解するかという話で、選択の自由が保障されることが前提です。一方で選択肢の限られた人が他者の同調圧力によって被ばくまたは放射性物質による汚染の影響、そのリスクを負うという別の話があります。

この二つの話が混同しやすいということが、問題だと思います。それは原発事故以降、個人的な選択、判断、理性ということが疑わしい状況だからだと思います。
 
プロフィール
HN:
竹内公太
性別:
男性
自己紹介:
元作業員の視点から何か有意義な記事が書けないだろうかと思い、東京電力さんの記者会見にときどき参加しています。(働いたのは8月の短い間だけです 免震棟の出入り管理で、比較的被曝量の少ない、後方支援のような仕事です 現場で今も高線量被曝しながら懸命に作業されている方々に最大限の敬意を持って、記事を書きたいと思います。
ライター経験は無いので読みづらい点もあるかと思いますが宜しくお願いします。
バーコード
ブログ内検索
忍者ブログ [PR]